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ケスクセクサ?


先日、お休みと知りながら通りかかったお店に店長を見かけたので、ちょっと立ち寄った際、奇妙な物体に遭遇しました。
定休日に内装を手がけていたそうで、立ち話していたら、開店中と勘違いしたお客さんが次から次へとやって来て、開店休業ならぬ閉店営業の、クレオール料理専門のお惣菜屋さんでのこと。

2メーター程向こうのお店のカウンタで取り出しているのを目にして、「ケスクセクサ!?(Qu'est-ce que c'est que ça !?):コレは一体何なの!?」
あまりに奇怪だったので気になって仕方なくて、物が何かを聞いて少々怯むも、試しに二つだけ買い求めて来ました。

現物も結構キテレツな外観ですが、写真にするとなんだかいかがわしい気配・・・・
下の写真は、一体何でしょう? 色は、赤い色素で着色されています。 長さは10cm弱。

答えの選択肢:
 A : 牛の乳首(乳搾りの際に握る部分)
 B : アリクイの鼻
 C : 豚のしっぽ



フタ付の透明の小さなバケツのようなものに、赤い水と共に詰まっていて、お客さんの要望で裏から持って来たそのバケツの外観では「え、まさかガリ?(お寿司に添えるジンジャーのピクルス)」なんて想いが過ったのですが、手袋をはめて取り出した物体は、薄切りでなく塊。

ヒタヒタの漬け汁から取り出したのを目にした途端に想い浮かんだのは、ちょっと前に観た映画「The Killer Condom」(※1)。
「真っ赤なトマト」に顔が変色する前に、とんでもない邪念は振り払いましたわ。




答えは「豚のしっぽ la queue de cochon」。

フランス人も、中国人に負けず劣らず豚は徹底的に食べ尽くします。 内臓も鼻も耳も足もしっぽも。
臓物類にもあまり抵抗ない私は、豚の足は腕の良い料理人に骨を外して調理してもらえば、という前提で好物、鼻も極々希に豚肉専門店のお惣菜コーナーで買って来ることがありますが、しっぽは未だ未体験。
耳は、一度だけスペインのバルでフライ(だと思う)をご馳走になったことがあります。 コレナニ?と尋ねたら、食べてみろ、と言うのでつまんだところ豚の耳だと知らされて判明。
イナゴや蜂の子同様、抵抗がある物も、知らずに一度食べてしまえば度胸が付くというか、食べちゃったんだからもうしょうがないやと諦めが付くと言った方が正しいかな。

写真のしっぽの色が紅ショウガのように赤いのは、素材を尋ね忘れたけれど、恐らくルクーと呼ばれる木の実で着色されているのだと思います。

食べ方を尋ねたら、案外シンプル。
「塩水漬けで塩辛いから、好みに応じて時間を調整して水に浸して塩抜きして、インゲン豆と一緒に煮るのよ。 レンズ豆でもいいの」
だそう。
「本土(フランス本土)のプティサレ(豚塊肉の塩漬け)と同じ感覚なのね」
「そうそう!」

殆ど骨と皮で、肉らしきものはあまりないんじゃないかと思いながら、ほっくりした白インゲン豆と2つの尻尾、それぞれ一晩水に浸してから煮込みました。
予想通り、殆どが骨でその周りにほんの少し筋肉質のお肉がこびり付いていて、ゼラチン質に包まれた独特のテクスチャー。 ファンが居るのもなるほどと思えるけれど、探してまでまた食べたいと思う程のものではなかったわ、というのが私の好みに照らし合わせた結論でした。

ちなみに、豚のしっぽはフランス本土でも食べます。 上のクイズの答えの選択肢に加えた牛のお乳も。
共に、さほどポピュラーではなく、どこのお肉屋でも買えるわけではありませんが。


(※1)
映画「The Killer Kondom (Condom)」邦題「キラー・コンドーム」、凄まじくキッチュな刑事物コメディ映画(1997年)。
人づてに入手したDVDはドイツ語に英語字幕だったので、多分ドイツ映画だと思います。 舞台はNYだけど、アメリカ人のセンスじゃなくて、どう見てもヨーロッパの笑いでしたから。
ブラックな笑いと悪趣味に抵抗がなく、ユーモアのセンス幅広い人にしか勧められない、とってもキテレツな映画。
フランス映画に比較するなら、この国のユーモアを理解するためにはMUSTとも言える「La soupe aux choux ラ・スープ・オ・シュー(訳:キャベツのスープ)」に値するバカバカしさだけど、最後にきちんと真面目なオチ、かつ設定はアメリカでなきゃならなかったのねと納得できるオチがあって、映画1作品としては案外ちゃんとできています。
Youtube.comのココで、宣伝用クリップ(英語)が観られます。 名称が名称、しかもドイツ映画(確信ナシ)だけど、ワイセツシーンはありません。


by mmetomato | 2008-03-29 20:14 | 食材


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