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クリムト


つい最近久しぶりに新しいCDを入手し、毎日少しでも暇があると聴いてはゴキゲンでいます。
色々な経緯絡んで出会ったクラシックの作曲家で、万人受けしそうにない音楽。 「何故この人の曲が気に入るんだろう?」と思い始めたら、色々考えてしまいましてね。
そこから派生して好きなものを指折り数えてみると、どうも共通点がある。
そこで、“自分発見”とばかりに暇を見て好きなものを列挙している真っ最中で、そんな中から少しだけ、ここ数年手をつけていない自己紹介ページに入れ替えるものを作ろうとチョコチョコ書き始めたら止まらなくなってしまって。

準備がてらに、時々ここにメモしておこうかと思い立った次第です。

というわけでまたお料理からは脱線して、今日はGustav KLIMT (1862 - 1918):ギュスタヴ・クリムト。
アールヌヴォーを追っていて出会ったオーストリア人画家です。
100%全ての人が知っている筈、とまでは言えないのかもしれませんが、かなり有名なのでご存知の方は多い筈。

ええと・・・ 私、アートのウンチク家じゃないので、絵についてさして語れることはありません。 むしろ、絵にまつわる想い出話といったところですのであしからず。

実物はやはりウィーンで見ました。 ブリュッセルにも壁画があったのですが、当時一般公開されていなくて(今も特別な時期だけの模様。数年前に一度だけ一般公開したという情報をたまたま見つけたのみで、現在どうなのかは不明:Palais Stoclet ストックレ邸、279/281 Avenue de Tervueren, Bruxelles、20世紀初頭築。建物自体もオーストリア人建築家による)、そのお屋敷の前を通る度に恨めしく眺めるばかり、或いは当時いくつか持っていた芸術書の写真を眺めるばかり、というかなり悔しい思いをかきたててくれた画家でもアリ。

「le Baisé:接吻」(すぐ下)はあまりに有名。









ウィーンへは、スイスの山にヴァカンスで出かけた折り、ちょっと足を伸ばせば見られる! と行き当たりばったりに電車に飛び乗り(※)ほんの一泊して。
(※ 文字通り「飛び乗り」。チケットを買っている間に到着していて、ホームに着いた時既にそろりそろりと走り出していて、列車末尾にいた車掌さんに「あんた一人か! 荷物はそれだけか?」「はいっ!」「じゃ来い!」と電車を追いかけ引っ張り上げて頂いて。 良い時代でした。 どこぞの真っ赤な二階建てバスでも同じようなことしていたっけ)




しかし、何の下調べもせず「観光案内所へ行けば全て分かるだろう」と極めて安易に到着。
駅前にすぐインフォメーションを見つけ、まずは宿を確保し荷物を置こうと示された住所を目指すもサッパリ分からない。 この辺であろうと思しき地区をウロウロしていると、何やら配達中だったオジサンが走りよって来て「道分からないの? どこへ行きたいの?」と助けてくれる上々のウィーン滞在第一歩。 お陰で安宿に辿り着き荷物を置いてインフォメーションへ舞い戻った途端、「クリムトの壁画を収納する建物の名前を英仏語ですら知らない」という間抜けなことに気付いて途方に暮れ、「仕方ない、折角来たんだから宮殿くらい見ないとね&宮殿にもクリムトはあったもんね」とのほほんとベルヴェデーレ宮殿観光の後、「過去30年で一番暑い猛暑の日」と言われた凄まじく暑くてそこら中にゴミが散らばった汚い街でトラム(市電)に乗ったりその辺を歩いたり、適当に道に迷ってから目的地へ帰るという当時趣味のように楽しんでいた「TOMATO、孤独にウキウキ迷子ごっこ」を楽しみつつ宮殿ほど近くまで辿り着いてブラブラしていたら、ひょっこり出現した「名称不明の行き先の建物(後出)」。

スイスのキャンプ場では朝見知らぬオジサンに「カッフェ?」と叩き起こされ、ブラッド・ピットなど蹴散らすようなハンサム揃いの山岳隊のお兄さん達(オジサンはそのリーダー)に囲まれてコーヒーにブレックファストをたっぷりご馳走になったり、ベルンの宿では朝晩退屈しない多国籍な若者グループに出会って意気投合、ささやかな、でもかなり本気で憧れていた「真夏に半袖でスキー」の夢を実現したり、高山植物に囲まれ氷河を見下ろし etc. etc.、何をやっても何処へ行っても恵まれた旅でした。
これほど嫌なことも困ることもひとつもない旅ってあり得るのかしら?というくらいに。
ちょっぴり屁理屈な、でも純朴な日本人青年(どう見てもおぼっちゃま君な大学生、でも果敢に一人旅に初挑戦だった模様)にも出会ったりも。

更には電車の中のトイレにまず絶対に紙が無かった理由を教わり、なんともつまんない事ながらも事情を知っていたく感動したことも。 当時ウヨウヨしていた貧乏学生バックパッカーがクリネックス代わりに盗むからで、スイス国内を移動中の電車でトイレを覗いて紙がなく、やれやれと席に戻ろうとしたら同じ車両の若者に「あ、トイレットペーパーでしょ、さっき僕が最後の一つを盗ったから無いに決まってるじゃん。はいよ(と気前良く1m程ぺらっと千切って分けてくれて)。これ1つあると結構便利なんだ、君も他の車両を覗いて盗ってくるといいよ」ですって。

これまでの人生で1、2を争う楽しい時期だったわ。

そんな旅の想い出が絡みに絡んだクリムト鑑賞なので、単純に絵画だけを語ることができません。
ただ、その後の絵画鑑賞にある意味大きな影響をもたらしたのがクリムト鑑賞&この時の旅行。 これは絵画の傾向云々ではなく、「建築と違って絵は移動できる。だから、どうせこちらがあちこちへ出向くなら、向こうからやって来る可能性が少しでもある絵画よりも、まず移動することのない建築か壁画のために動こう!」と思ったためです。 折しも、やはり同じ旅行のついででだったかな、スイスで1枚、実物を見たかったダリの絵画があることを知っていて入った美術館で、よりによってその絵画が他での展示のために「貸し出し中」の札しかなくて、それはそれは悔しい思いをしたからなおのこと。
言い換えればヘソを曲げたのね、私。 同じ美術館は他にも数枚ダリを所有していて、他は全て見られたのに。 せめてレプリカでも良いから展示しておいて欲しかった。

というわけで、当時も興味津々だった建築へこの後系統して行くきっかけになった旅でした。
近くへ出かければ、やっぱり絵を見に足を伸ばすのは抑えられないけど。



なお、ウィーンのその建物は「le Palais de la Sécession(仏語名)」。 日本語不明。
Site Web : http://www.secession.at






オーストリアに於けるアールヌヴォーの先駆けとなった建築物。 見事です。
今はオーストリアの50サンチーム(0.50euro)コインにも描かれています。
壁の装飾はいかにもゲルマン系アールヌヴォー、ドイツ、ルクセンブルグに見られるアールヌヴォースタイルそのまんま。 屋根がとてつもなくステキで(私の好みではね)、こちらはラテン系アールヌヴォーの気配。
後にこの屋根にそっくりのメタルのバレッタ(髪留め)をブリュッセルで見つけて、高かったのに奮発して買い求め、しばし貧乏したものでした。 アート系オブジェのお店で、同じ所でクリムトの絵をモチーフにしたバレッタも買った記憶があります。 当時は多少髪を伸ばしていたので使えましたが、もしもショートカットでバレッタの使い道など無くても買わずにいられなかったことでしょう。


by mmetomato | 2008-02-22 03:23


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