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生涯初のクッキングコース:2
いかんせん、前日の夕方に私のために先方との約束を取り付けた仕事仲間に「お菓子作るんだって。18時だからね、遅刻しないように早めに出なさいよ〜方向オンチなんだから」と言われてホイと飛び込んだので、頭から足の先まで「パティスリー」の語に包まれて・・・の筈が、「モンマルトルって言ってもそっち側知らないからまた迷子になったら・・・」と怖じ気づきつつ田舎っぺの必須アイテム「パリの地区別詳細地図」を握りしめるも相変わらずメトロから地上に出てみるとサッパリ見当がつかないので、道行く人を取っ捕まえること数回。
でも、方向さえ分かれば辿り着くのは実は簡単でした。

キュスティーヌ通り21番地:21 rue Custine - Paris 75018
を口の中で呟きつつ看板を見つけ、ガラス戸に近づこうとしたところにやって来た穏やかな表情の年配の女性三人ににっこりと微笑みかけられ、「あ、きっと今日のお仲間だわ」と思った通り、同じ扉に吸い込まれた途端、目前に広がるは小さなスペースながらも大きなテーブルと機能的そうなキッチンスペース。
5つ並んだ立派な(普通のお家に比べるとね)ガス台の脇にはお野菜やハーブ、調味料が並び、テーブルには人数分のまな板に包丁が添えられ、「パティスリーなのに?」という疑問に包まれつつ一通り参加者&インストラクターのお兄さんと握手を交わしつつ自己紹介して、すぐさま知らされたレッスン内容は、アントレ、主菜にチーズ、デザートとフランスのスタンダードなお食事一通り網羅するものでした。

でも、「オーブンに入れた後冷やすから」という理由により真っ先に着手したのは、デザート、Crème Brulée:クレーム・ブリュレ。
お菓子を習うものだと聞かされていた私は、「あ、なんだ」と胸の内で呟いたのが正直なところでしたが、いざスタートしてみてすぐさま感心したのは、いかんせん英語で進められるレッスンのため生徒さんは英語圏の人(今回は私以外100%英語を母国語とし仏語が全く分からない面々)なので、自国に帰っても作れるように、「代替え素材」をチョコチョコと言い添えながらインストラクターが説明してくれる点。
まさか日本の食材までご存知かどうかは尋ねませんでしたが、生クリームないし乳製品全体的に、国境を越えると大分違うものなんですよね。
その辺をきちんと考慮してちょちょっと知らせてくれるのは、聞き流してしまうとさして重要性が無さそうだけれど、実は結構大切なポイント。 「その場だけじゃない使える料理を教えたい」という意欲の表れだなぁ と、お料理を教えるわけじゃないながらもレシピサイトを作る身としては、しみじみ感心したのでした。

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前置きが長くなりましたが、上はアルコールに浸してふやかしたヴァニラビーンズ(バニラのサヤ)から種をこそぎ出しているところ。 キャスロールの中身はクリームとお砂糖です。
乾燥させたヴァニラビーンズはナイフで切って、ナイフの背で種をこそいで という作業がクラシックだけれど、ふにゃけたヴァニラビーンズは長さに沿ってでなく真ん中でプッツリ2つに切り分けて端から絞り出すと種がニュルッと出て来て簡単に全ての種(最も香りが良いのが種)が出て来るんだよ なんて説明に皆さん大喜び。

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卵黄だけ集めておいたボウルに温めたミルクを注いで混ぜて、天板に並べたラムカンに流し込んでオーブンに入れ、天板にお湯をはって(お湯の沸点以上に温度が上がらないように。チーズケーキを焼く際にお湯をはるのと同じ理由、なんて、ちょっとしたこともきちんと説明しながら)25分程加熱した後ちょっとゆすってみて、今ひとつ焼きが足りなかったのでもう10分追加して。

その間に皆で着手したのは、「根セロリのピュレ」、メインディッシュの付け合わせです。
何でも知っています なんて言う気はないけれど、このお料理レッスンで一つ私が知ったことは、「根セロリだけじゃユルユルのピュレになる」ということでした。
最もポピュラーなピュレと言えばポテト。 他にもニンジンのピュレとかブロッコリーの、そして根セロリ等、加熱したお野菜を潰してペースト状にした「ピュレ:Purée」というのは仏人の食卓によくのぼるもので、根セロリのピュレなるものがあることも知っていたのだけれど作ったことはなくて、「単品じゃユルユルになるからポテトを加えるんだ」とは、インストラクターのPino(ピノ)氏。

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「カロリーダウンに徹するんだったら、芋は加えない方がいいけどね、根セロリは芋と違って澱粉主流じゃないからカロリー低いし」
なんて、女性の耳もしっかり意識するアドバイスも。
料理人のこういう「合間のちょっとした言葉」が大好きな私は、もうすっかりアンテナ全開。

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今回はカロリーダウンよりもプレゼンテーションを重視して、ちゃんとポテトも加えて作ります。
ポテトとセロリを大鍋に入れてお湯を張り、「水から茹でる方法もあるけど、お湯から茹でた方が野菜がべちゃっとしないんだ」という、これまたちょっとしたポイントも忘れずに言い添えてくれるのがまた嬉しい。
当然なつもりで言い忘れる人の方が断然多いでしょうに、さっすがプロ!

セロリ&ポテトが茹だるまでの間に、今度はアントレ(前菜)の一部の準備にかかります。
続きは次回に。


Cook'n With Class
http://www.cooknwithclass.com/index.html

義理でも回し者でもないけれど(定員一杯、予約ビッシリだったところへ割り込ませて頂いた義理は少々あれど)、折角楽しいレッスンだったのと、仏語が全く出来なくても全然問題ない上、英語力も大した事無くても絶対楽しめること請け合いなので、毎回彼等のサイトのURLを書き添えておきます。
by mmetomato | 2009-03-09 03:39 | 料理


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