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ケスクセクサ?


先日、お休みと知りながら通りかかったお店に店長を見かけたので、ちょっと立ち寄った際、奇妙な物体に遭遇しました。
定休日に内装を手がけていたそうで、立ち話していたら、開店中と勘違いしたお客さんが次から次へとやって来て、開店休業ならぬ閉店営業の、クレオール料理専門のお惣菜屋さんでのこと。

2メーター程向こうのお店のカウンタで取り出しているのを目にして、「ケスクセクサ!?(Qu'est-ce que c'est que ça !?):コレは一体何なの!?」
あまりに奇怪だったので気になって仕方なくて、物が何かを聞いて少々怯むも、試しに二つだけ買い求めて来ました。

現物も結構キテレツな外観ですが、写真にするとなんだかいかがわしい気配・・・・
下の写真は、一体何でしょう? 色は、赤い色素で着色されています。 長さは10cm弱。

答えの選択肢:
 A : 牛の乳首(乳搾りの際に握る部分)
 B : アリクイの鼻
 C : 豚のしっぽ



フタ付の透明の小さなバケツのようなものに、赤い水と共に詰まっていて、お客さんの要望で裏から持って来たそのバケツの外観では「え、まさかガリ?(お寿司に添えるジンジャーのピクルス)」なんて想いが過ったのですが、手袋をはめて取り出した物体は、薄切りでなく塊。

ヒタヒタの漬け汁から取り出したのを目にした途端に想い浮かんだのは、ちょっと前に観た映画「The Killer Condom」(※1)。
「真っ赤なトマト」に顔が変色する前に、とんでもない邪念は振り払いましたわ。

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by mmetomato | 2008-03-29 20:14 | 食材
映画もうひとつ「MR73」

とかく「暴力シーン」に傾倒しがちな、
近頃のフランスのフィルム・ノワール。

最新のスバラシキ作品と言えば、4年前の「36 Quai des Orfèvres(邦題:あるいは裏切りという名の犬)」まで遡らないと見つからない、とボヤいている私。
去年1月に公開された「Truands(邦題:裏切りの闇で眠れ。日本の仏映画祭での仮タイトル:暗黒街の男たち の方が良かったと思うんだけど)」に期待して出掛けて、少々がっかりしてからおよそ1年、「Truands」では役者、「36〜」では監督、元刑事で役者・監督・脚本もこなすオリヴィエ・マルシャルの新作「MR73」がやっと先週一般公開されたので、ロードショーから6日遅れて観て来ました。

例え10eurosでも、DVDを待たずに劇場に行くつもりだったのだけれど、丁度日曜から火曜まで「Printemps du Cinéma(映画の春)」と題して3日間だけ入場料が3.50eurosなので、次の週末まで待ちきれず、相棒には夕ご飯までちょっと我慢してもらって月曜の夕方に。

「36〜」を再び! と期待してはきっとがっかりする、でもマルシャル及び主演のDaniel AUTEUIL ダニエル・オートゥイユの語りっぷりでは、余程の期待を寄せても大丈夫そう? と、期待しすぎると十中八九「期待しすぎなための落胆」を味わうものなので、殆ど必死なくらいにムクムク頭をもたげる期待を抑え抑えいたのですが・・・
出だしの音楽がこれまた好みのレナード・コーエンの「Avalanche」。 膨らみ切った期待はこの時点で既にパッチンと弾けてしまい、すっかり期待丸出しでの鑑賞開始。

こういう映画は日本では一般公開されても、そうでなくても米映画にひどく傾いた風な(あ、でも日本映画は最近元気みたい?)日本では、殆ど注目されずに終わってしまうようなのが残念なところ。
今のところ、ネットで探してみても、日本で公開される予定はまだないか、あっても公にはされていないようで。

2時間の長編と知らずに観始めて、あまりにトロリトロリとゆっくりテンポに飽きる一歩手前のまま引きずられること1時間。
主役の、曰く付きでアルコールに浸る刑事(D.オートゥイユ演)が出会う筈の、幼い頃に目の前で両親を虐殺された女の子と出会うまでに延々1時間。
しからばその後バタバタと事が起こるかと思えば、あくまでもジリジリとしか進捗しない、珍しいテンポの作品でした。
思えば、去年の夏に見逃してつい先日やっと観た、クロード・シャブロル(好きな監督の1人)の「La fille coupée en deux(日本未公開。タイトル訳:真っ二つに切られた娘)」も、興味深い時間設定で冒頭からしばらくの〜んびりしたリズムでした。
近頃の傾向というわけではないでしょうけれど。

飽きっぽい人は途中で飽きること80%強請け合い! とは思うものの、無駄に暴力を盛り込まずにシビアに精神を蝕む過去の事件を胸に抱える刑事の苦しみをしんしんと描く、という意味では、「36〜」に通ずるハイクオリティ。
4年ぶりに、濃厚なフィルム・ノワール復活、といったところ。
「36 Quai des Orfèvres」を既に観ていて(このページをご覧の方の中に1%も居るかどうかだろうとは思いますが)気に入った人になら、お勧め。 だけどまず万人向けとは言えない1作。

映画は満喫したものの、内容がヘヴィだったので、帰宅してから相棒に文字通りしゃべりまくり。 のろい映画の運びを毛嫌いする相棒はまず観る筈がないので、最初から最後まで全部種明かしして荷下ろししました。
そしてその晩は、映画の冒頭に出て来たのも納得のコーエンの「Avalanche」にとっぷり浸り・・・ 今も耳に押し込んだイアフォンで歌っている。 10回目だそうだから、かれこれ50分間聞き続けていることになるんだわ。

映画祭(割引期間)は明日迄(仏時間の18日、火曜迄)なので、明日の夕方まだ元気が残っていたらもう1本、もう10年以上ビッグスクリーンで観ていないダニエル・デイ・ルイス Daniel Day-Lewis主演作、「There will be blood」を観に行くかも。


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by mmetomato | 2008-03-18 08:04
北の国へようこそ


あまりに右向け右と皆が揃って関心を持つものがあると、ついつい違う方を向きたくなる天の邪鬼の私ですが、今回は珍しくブームに乗りました。
土曜日、未だかつてトゥールで見た事が無いほどの、映画館の長い行列に加わって観て来たのは、

「Bienvenue chez les Ch'tis ビヤンヴニュー・シェ・レ・シュティ」。

12日に公開された、期待膨らむ別な作品(※1)が私にとっての最優先だったのだけれど、相棒が「シュティだよ、シュティ!」と主張するので、そちらへ譲って。

2月末の水曜日(※2)に全国で公開開始してから、フランス映画史上最高記録をマークするだろうと言われる勢いで人を集めている人気かつ話題の1作、フランス映画です。
15日、土曜日時点での国内でのこの映画鑑賞者数は9百万人だそうですから、ロードショーから20日ほどで仏人のおよそ6〜7人に一人は、この作品のために映画館へ足を運んだことになる筈。

意味は「“シュティ”の地元へようこそ」ないし「北の国へようこそ」。
「Ch'tis (Chetis) シュティ」のところ、つまり「北の国」は、外国でなく「北フランス」、ベルギー国境に近いノール・パ・ドゥ・カレ Nord-Pas de Calais。
「Ch'tis シュティ」或いは「Ch'timis シュティミ」は、そこの住民/原語(方言)を示します。 フランス人/フランス語をFrançais / français フランセと呼ぶのと一緒。

いつも曇り空・雨が多い→どんより灰色の風景、寒い・貧乏→酒飲み、よく分からない地元方言を話す といったイメージが全国的に知られるどうにもネガティヴなこの圏出身つまり自身も「Ch'tis シュティ」の一人であるコメディアン、Dany BOOM(ポスター右の人) ダニ・ブーンがシナリオを書いて監督・主演したコメディ。

やはりコミック(日本で言うならお笑い芸人)で役者のカド・メラド Kad Merad(ポスター左の人)演じる郵便局長が、その妻が望むコート・ダズュールへの赴任を狙って手を尽くして辞令を受け取ろうと頑張ったのが裏目に出て、人事部長に呼び出され、
「悪いニュースがある」
「ついにクビか!?」
「いや、それよりひどい・・・」
「?」
「北部に転勤だ」
に始まるドタバタ劇&ヒューマンドラマ。

ネガティヴなイメージ多い北部ですが、多くのフランス人に知れ渡るポジティヴな面は、風景こそ暗いけれど北の人は友好的で暖かい人柄という点。
南仏に根付いた郵便局長の妻にとっては地の果ての北フランスなので、「凍え死ぬような北極には住めないわ」と涙する妻を息子と共に南仏に残し単身赴任して乗り込んでみれば、わけのわからない外国語のようなシュティミを話す人達の大歓迎を受け、土地の人が「この地に来た人は、着いた時、そしてここを去る時と2度泣く」と言われる通り、人々の暖かさに触れる、というコメディドラマです。
映画の発端となったダニ・ブーンが、「僕の地元とママに捧げる映画」と言う通り、そしてご当人も予想していなかった人気沸騰のお陰で、公開した週から続々と、実際にシュティの国にある町には、フランス国内あちこちからの観光客が詰め寄っているのだとか。

そんな大成功がTV、ラジオ、雑誌で話題になる最中、ネット上の右派ブロガーの間でまことしやかに語られているアナライズがまた興味深い。
それは、ここ数年フランス国内で大人気となった国産映画の共通点は、いずれも、
「極一般的なフランス人が共感を覚える作品が大ヒットする」
それだけなら、ほぼどこの国にも共通しそうな話で、そりゃそうでしょうよ、のひと言で片付けることができるのだけれど、
「大ヒット映画の共通点は、いずれも“古き良きフランス”。言い換えれば、仏語がろくに話せないような移民や不法滞在者といった部類が登場しない、移民問題に世間が揉まれる前の時代の話、或いは、そういう話題が全く出て来ないドラマを好む。つまり、今のフランス人達は“自身のアイデンティティ”求めているのダ」
という意見。

「Le Fabuleux destin d'Amélie Poulain アメリ (2001)」
「Les Choristes コーラス (2004)」
といったここ数年で大ヒットを遂げた国産映画を挙げてみると、「なるほど、一理あるわ」と思いたくなるテオリーです。

「シュティ」の映画は、あまりに話題になる余り、そして主演ダニ・ブーンのスケッチ(舞台:ココで一部観られます)で既に観たエピソードも出て来るので、期待しすぎたのか、予想した程までは笑えなかったけれど、観て後悔はしていない、といったところ。
舞台となった町の風景が、フランスよりもベルギーに近いので、少なからずノスタルジックな気分をそそられて、泣き笑いしそうになりながら笑っていたためもありますが・・・

国内の土地による文化の違いを笑うコメディは、言葉遊びの点でまず輸出には躓くことと思うので、日本で例え細々でも公開される可能性はかなり薄いのではないかと思います。
もしも日本で公開されたなら、どんな訳が添えられるのか、観てみたいものだわ。


(※1)オリヴィエ・マルシャル監督映画「RM 73」。
12日水曜にロードショーされて、本当は週末に観に行くつもりだったもの。 元本物の刑事だったマルシャルは俳優に転職し、TVドラマ出演や監督、映画監督もこなし、前作「36 quai des Orfèvre (2004)(邦題:あるいは裏切りという名の犬)」が素晴らしかったので、ロードショーを心待ちにしていた作品。
また刑事物、今回も立派にフィルム・ノワールに仕上がっている模様で、月曜の晩に行ければ、月曜が無理でもDVDを待たずに劇場へ観に行くつもり。

(※2)フランスでは、映画の封切りは、先行上映を除いて、週末でなくいつも水曜日です。


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by mmetomato | 2008-03-16 23:51 | 時事フランス
ブラウニーの次のブラウニー


ブラウンカラーのブラウニーがブラウニーなら、こちらは「ホワイティ」と言いたいところだけれど・・・
実際には「イェロウィも変よね・・・ う〜ん、“Jaunie ジョウニィ”!」
とは、「ちっとも“ブラウン”ニーじゃないじゃないか」と呆れる相棒に、苦し紛れの造語を持ち出した私(「Jaune ジョーヌ」は仏語でイエロー)。



焼き色がつかないように仕上げたかったのに、アルミホイルをかけるのをうっかり忘れて少し色づいています。
物は、ホワイトチョコレート(chocolat blanc ショコラ・ブラン)の「ブラウニー風」。 ココナッツとレーズン入り。

ホワイトチョコレートを使ったら「ホワイティーでしょう」なんて言っていたのですが、卵黄の色によるのかホワイトチョコレート&バターの乳脂肪によるのか、ちっとも白くはありません。
和菓子の黄身餡のような、ほんのりイエロー。

何年か前に試みて、でも出来映えはさほどのものじゃなくてがっかりして以来、チャレンジしていなかったのですが、今度は前回よりも大分濃厚にショコラ風味を楽しめる仕上がりになりました。
以前の試作品は、行き当たりばったりに作ったので、材料の配合が違う筈だけれど、何をどう変えたのか、我ながら全く記憶ナシ。

切り口でボソボソしているのは、ココナッツ、黒っぽいのはドライレーズンです。
今回はしっかり甘味を付けたので、濃厚なミルキーさと相まってなおこってり味。 一口大のサイコロに切って、和菓子のように盛りつけて、毎回ちょっとだけをおやつやデザートに。

少々半生焼けの、ねっちりした中心部分が案外好評でした。


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by mmetomato | 2008-03-15 06:17 | デザート
ショコラの黒ブーダン


ひと月近く前に遡るのかな、我が家のヴァレンタインデー後のショコラがこちら。
久しぶりに作った、「Boudin au chocolat:ブーダン・オ・ショコラ」です。
年明けから我が家、いつも以上にチョコレートづいていまして。



サイトに既にレシピを掲載していて、確かレシピページにも説明を添えていたかと思いますが、ここで言う「ブーダン」とは、「ブーダン・ノワール:Boudin noir」と呼ばれる黒ブーダン。
黒とわざわざ色を指定して呼ばれるのは、他に白ブーダンもあるからです。

黒ブーダンの方は、ドイツやスペインにも似たようなものがある、血入りのソーセージ。
フランスでは、主にポークで、他に鶏肉屋さんの鴨の血入りの黒ブーダン、そしてアンティーユのスパイシーな黒ブーダンが知られています。
どす黒いのは、火の通った血の色。
これも既に幾度か書いていますが、「獣肉の血」なんて言うとおどろおどろしいかもしれませんが、味わいは比較的易しく、豚肉の黒ブーダンなら、タマネギ入りとリンゴ入りの2種類が主流で、ポテトピュレを添えたりソテーしたリンゴを添えて食べるのが一般的。
ぽっくりした食感が舌に絡み付くので、もしも嫌いな人が口にしたら身もだえるかもしれませんが・・・ 臓物類でも何でもござれの私にとっては、手足の指全部使っても足りない、数ある好物の一つです。

でも、写真の太めのブーダンの輪切りは、お肉も血もないショコラのブーダン。
ガナッシュというか生チョコというか、溶かしたショコラにクリームを加え、適当に砕いたマリービスケット(ここではマリア Maria ビスケット)と刻んだドライフルーツを加え混ぜて、簀巻きの上に広げたラップに棒状に置いてくるりと丸めて冷やし固めた、デザート或いはおやつです。

ドライストロベリーやクランベリーなどベリー系のドライフルーツを使っても美味。
今回は、暮れからしばらくフルーツケーキに凝っていたので、ドライフルーツの残りが少なくて、ドライイチジクとフルーツケーキ用にたっぷり仕込んであった自家製オレンジピール(ヴァレンタインには同じオレンジピールにショコラがけしてオランジェットに)を刻んで加えてあります。
いい加減に砕いて混ぜるビスケットを、ソーセージのブーダンにチラホラ見られるリンゴ、或いは脂身に見立てて。

ベースが生チョコ風なので、味わい濃厚。 デザートなら1cm幅一切れあれば充分。
写真は直径6cmほどです。
最後の一切れをつまみながら、「今すぐまた作って」とねだる相棒。
作り方は簡単なので、次回は彼に作らせるつもり・・・


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by mmetomato | 2008-03-13 05:54 | デザート
バラ色の後は虹色


2月の殆どが比較的暖かくて、プラムや桜の花が大分開いたというのに、今月に入って寒の戻りと呼ばれる類なのでしょうか、ヒュンと気温が下がって霜が降りる日もチラホラ。
この辺りはここ三日ほど雨の予報、しかも雨だけでなく強風を伴う嵐が到来中。
昨日(ブログ上では一昨日)の月曜など、まともに傘をさせない台風のごとき強風のため、家への帰り道、そこら中のごみ箱に骨がばらけた傘が突っ込んでありました。 雨さえ止んでくれていれば写真を撮ったのに、と残念なくらい、風に煽られて壊れた傘が群をなしたごみ箱に突き立つ光景は、ある意味壮絶でした・・・

今日の写真は、その前の日曜の空。
市長選の投票に出掛けた夕方、街の中心には太陽が照っていましたが、その陽射しに温められる頬をヒンヤリとかすめて行く風が冷たくて、上空には色とりどりと言いたくなるような濃淡様々なグレーの雲が、雲の居る高さの違いからなのでしょうね、様々な早さでなびいていました。



家から投票所の市役所まで歩いて行けば良いのだけれど、「きっとにわか雨に見舞われるに違いない」と車で出掛けたので、投票後そのまま近郊の田舎道をぶらりと巡った時の空模様が上。
白い雲だけ見たら、なんだか夏のごとし。
雲の千切れ目から覗く太陽にさらされていればポカポカ陽気なものの、日陰に入ると突然気温が急降下したように感じる、それはそれは奇妙な日でした。



よっぽど滅茶苦茶な風の吹き方なのか、形ある雲、形ない雲、蒸気がそのまま雨になったかのように遠方で筋を描きながら雲がストンと落っこちたような景観だったり、車窓からキョロキョロしていたら、案の定虹が。

あっちにも、こっちにも。 行く先々に。



パリに比べて比較的陽光に恵まれるトゥーレーヌ地方ですが、空が変わり易いため、一年中しょっちゅう虹が出ます。
でも、綺麗なアーチを描くことは少ないかな。
大抵は上の写真2枚のように、足下だけ。

そういえば、今年の元旦にもちょろっと七色が輝いていました。


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by mmetomato | 2008-03-12 00:30 | Nature
バラ色の・・・


「La vie en rose:ラ・ヴィ・アン・ローズ」と言えば、
エディット・ピアフEdith PIAF !
と答えられる人は、そう少なくないと思います。 邦題は「バラ色の人生」。
去年公開されたピアフの映画で主演したマリオン・コティヤールMarion COTILLARDが、仏国内はおろかオスカー主演女優賞までさらった今年は、全国市長選挙の年。

9日、日曜に開催、即日開票されました。



主要都市の結果が出揃ったところでの私の呟きは。
「Les villes en rose...:レ・ヴィル・オン・ローズ」

そこら中のチャンネルでやっていた選挙特集番組で続々公開された、最初の「結果傾向」では、全国的な傾向の目安となると言われた都市で、ことごとく社会党が勝利していたから。
Les villes:街(の複数形、冠詞付)、そしてフランスの政界で「Rose:ローズ(ピンク、バラの花の意味)」と言えば、社会党の代名詞。 ロゴマークが赤いバラの花の政党で、開票途中での傾向提示段階では、まるで社会党圧勝といった印象だったので、正に現政府(サルコズィ/サルコジ大統領率いる政府には他党も居るけれど与党はUMP)に国民が中指を一本を突き立てた結果となったのね、と。
同社会党は、去年の大統領選で女性候補者として日本でも報道されていたセゴレーヌ・ロワイヤルの居る党です。

丁度同じ日曜日に、スペインで総選挙が行われていたのと、今回のフランスでの投票は県議会&市長選だったので、日本での注目度は低くて大したニュースにもならなかったのではないかと思います。

あまりローカルすぎる話をしても仕方ないけれど一応付け加えますと。
トゥールは、前々回の市長選挙で社会党派が政権を奪って以来、社会党のジョン・ジェルマンJean GERMAIN氏が市長の座を動かず、今回も案の定トップで第一次投票を突破し、来週末の第二投票で再選されることでしょう。
会うと不愛想でちょっと感じの悪い人だけど、市長としては比較的好評です。

首都パリも現職市長ドゥラノエDELANOËは社会党で、ここも変化無し。 トラムウェイを導入するだのバスや自転車専用道路がどうのと、市内あちこちで工事が最も盛んだった頃には不満の声も高まったけれど、それでも「パリをより良くしてくれる市長」としての人気は根強いので、驚くには至りません。

多少こういう傾向になるだろうと思ったものの、これほど顕著に野党第一政党に傾く結果となるとは思っていなかったので、「バラ色の街・・・」とこぼした次第。
でも、すっかり開票を終えて一夜明けた月曜のニュースでは、「ローズ」の党の圧勝っぷりはさほどのことでもなかったらしいです。 全国的に見ると、辛うじて社会党優勢、といった程度。

上の写真は、毎回投票日には恒例の、市内の投票所の一つ、トゥール市役所(旧館)の「祭りの間:La salle des fêtes」。
去年の大統領選の時にも書いたかと思いますが、日本みたいに×を付けて(○でしたっけ?)投票するのではなくて、各候補者の名が記された1枚ずつの紙全てを集めて、「Isoloire:イゾロワール」と呼ばれる服屋の試着室のような所にこもって、他人の眼に触れないところで1枚選び出して封筒に入れて、投票箱に放り込みます。
その投票用紙がズラッと並んだところで、これから投票する人が紙を集めている様子。



こちらは、投票直前にかな〜り迷っている風だった女性。
市役所前の広場に面して張り出されている選挙ポスターの一覧です。
一枚ずつ湛然に端から眺めて行った末、このマダム、また全部逆に辿って、丹念に眺めていました。
よっぽど迷ったのか、或いは単に誰かと待ち合わせ中の暇つぶしだったのか・・・?

ちなみに、当選のルールは、第一回投票で過半数つまり50%を超える票を獲得した人は、第二回目の決選投票なしに新市長に即決します。
49%以下なら、二位との格差が大きくても、第二回目の投票に向かいます。
トゥールの厳密な結果は分かりませんが、現職市長がトップ、第二位に、私が冷やかしにNom de dieu de vabreと茶化している、「今回の不人気政党」であるUMPの人物が大分引けを取って後を追う形。
元文部大臣経験者のその2位の人、全国的には今じゃ殆ど見向きもしてもらえず、全国放送の選挙特番でも全く話題にのぼりませんでした。
お陰で、厳密な票獲得率は不明(地元新聞でも買えば良いのだけど、大雑把なところは地元TVでチラッと言っていたのでそれ以上私は探さず。だいたい予想通りだし)。
現職市長再当選は、間違いないことでしょう。


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by mmetomato | 2008-03-11 20:43 | 時事フランス
誤字脱字注意報


日本人って、比較的根深い誇りを持つ割には、国外(主に欧米、荒っぽい言い方をするとリッチな白人主体の先進国)に対しては、なんだか態度がちっちゃくなる。 なんて、一概に言っては語弊があるのは認めますが、ザックリと大雑把に眺めるとそんな傾向が見られるのは否めないと思います。
同時に、「神に選ばれし民」だったか、神道の、ユダヤ教みたいなフレーズが何かと浸透している気配も、一部の知識人(?)だかの間ではもう忘れられ行くように語られていながら、まだまだ残っている。 誇れるものは多々あるんだからもっと具体的に誇ったら良いのになぁと思うことしばしば。

中国文化から取り入れられた漢字と日本で出来た平仮名カタカナ、複雑な文字を使う日本なのに、読み書きが出来る率では世界レベルでかなりいい線を行っているんじゃなかろうかと思います。
漢字が苦手、という人は多いかもしれないけれど、小学生でも高学年にでもなれば、ちょっと背伸びして新聞くらい読めますよね。
大人と文通できるだけの文章力もあるし。

ところが、フランスには「読み書きできないフランス人」がかなり居ます。
日本と違って国籍取得が簡単なので(注1)、「元外国人のフランス人」が多い、というのも大きな理由なのですが、生まれも育ちもフランス、国はおろか地元からすら離れたことがない、なんてフランス人にも、読み書きの怪しい人がかな〜り居ます。

朝一番に歯医者を出た後、毎年たっぷりとアプリコット(あんず)の実を付けるお庭がその近くだったので、丁度今が咲き頃で満開であろうお花を写して行こうと裏道を通ったら、民家の前で、パネルを添えた無人ガレージセールに遭遇すると共に見つけた一例をこの下に。



車を買い替えたい人が自分のだったりお友達の車だったりの窓に「プジョーX 〜モデル車検OK 走行距離〜km 価格応相談」なんて紙を貼付けているのは、日常茶飯事。
同じ感覚で、先日は「お野菜一掃セール」ならぬ「お持ち帰りください」のお野菜カゴがあったように、こういう「売ります! 電話xxx」というのはそこら中でよく見かけます。
時々興味深い物に出会すこともあるので、見かけるとひとまず何を売りたいのか、ついつい読んでみずにいられぬ私。

ここでは現物らしきものが添えてあったものの、この錆びに覆われたメタルの用途は一体何ぞ?と近づいてみたところ、パネル曰く「Traiteau 3つで30ユーロ、ピンポン台1つ20ユーロ」。
危うく「ふぅん」でやり過ごしてしまいそうだったところでハタと気付くは、「でた、間違い綴り!」。
こんなの、日本語のブログに書いてもしょうがないのだけど・・・ このところ外を歩き回っているのに悪天候でろくな写真が撮れずにいまして。

ただし、この程度は可愛いものです。 私もこう書きたくなるのがよ〜く分かる綴りですし。



「À VENDRE ア・ヴォンドゥル」は「売ります」の意味。
問題はこの「TRAITEAU(X) トゥレトー」。 Maçon マソンと追記されているところを見ると、石工さんか何かが工事現場やアトリエで使う特殊な道具なのだろうと思います。 日本語名称不明。
一般家庭でよく見られるのは、二つにパカッと開く木製ないしメタル製の「テーブルの足代わり」のようなもの。 そのトレトー Tréteau2つを左右に並べて板を渡した簡易テーブルないしデスク。 そういうデザインのデスクも売られています(下、Habitatのもの)。





しかしこの「Traiteau(x) トゥレトー」、本当の綴りは「Tréteau(x) トゥレトー(音は一緒)」(x付は複数形)。
微々たることなんですけどね。 自分のことは完全に棚に上げて他人の漢字の間違いが気になってしょうがないのと全く一緒で、他人の綴り間違いって気になるもので。

読み書きが全くできないフランス人はさておいたとしても、近頃のフランス人、綴りを殆ど間違えない人を見つける方が難しいんじゃないかと思います。 会社の社長なんて程々大きな所は秘書頼みで秘書の間違いにはすぐ気付く癖に自分の間違いには無頓着(こういうのは世界共通かな)、グランゼコール在籍なのダなんてちょっと鼻を高くしている学生だって結構怪しい。
オマケに言うなら、ボキャブラリーもどんどん乏しくなっている気がします。 いつも同じような単語ばかり使っていて、語彙が少ない人、類義語が見つけられない人が多い。

ひとえに責任転嫁されるは、携帯電話を使ったSMSと呼ばれるショートメッセージシステム。 フランスでは、SMSにあまりに親しむあまりに、日本のように携帯電話でE-mailというのはさほど浸透していません。
そしてこのSMSが若者に大人気。
日本語にも携帯電話メールを手早く送れるように略語が横行しているのと同じように、仏語の綴りも、電話の小さな文字盤で素早く打って一刻も早く送信できるように、様々な略語が使われています。
それが、そうでなくても仏語力の弱い仏人のフランス語力を奪っているのダ! とは、インテリ界がSMSに向ける後ろ指。
サイトの脱線カテゴリにちょっとだけそんなSMS字典を載せていますが、例を挙げると。

・明日 demain(ドゥマン) と書くところを「2M1(ドゥ・エム・アン、勢い良く音にして読むとドゥマンっぽく・・・ならないけど)」
・電車 train(トゥラン) → 「tr1(トゥル・アン、同上トゥラン)」
・一人称単数過去形の一つ J'ai(ジェ) → 「Gé(音は一緒)」
といった調子。
フレーズにすると、「明日来る?=Tu viens demain ? → Tu vi1 2m1 ? テュヴィアンドゥマン?」といった風。 ここ最近は、ネット上のデスカッションフォーラムにもこんな記述が増えています。

仏語には、ごちゃごちゃ綴っても音に現れない文字が沢山あります。 そういうのを徹底的に端折るのもSMS語の特徴で、インテリの言葉はさておいたとしても、今や普通のE-mailにもこのSMS語が使われることも増えています。 ビジネス関連の連絡でも、人によっては平気で。
更には学校の授業のノートも、昔からある省略筆記に加えてSMS語化しているそうで、なるほど確かに綴りが分からなくなるのも、分からなくもない。
だからといって周囲の仏人達が外国人の綴り間違いに甘いかというと、全くそんなことはないので、やっぱり油断禁物なのには変わりナシ。
まあ、パソコンの誤綴りチェックにも時々怪しいのが残っていますから、そこら中のフランス人が一本指打法で打つメールへの返信くらいなら、5行に1語くらいの綴りミスは求人広告への応募でもない限り、適当に見逃してくれるかもしれませんけれど・・・


注1)フランスは重国籍OK。日本人の場合、日本が重国籍を認めないため、今は仏国籍を取得すると日本側から日本国籍を取り上げられてしまう。


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by mmetomato | 2008-03-01 19:25 | 時事フランス