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パリのアール・ヌヴォー:その5


ギマールによる代表的かつアールヌヴォーらしさ溢れる異質なデザインの邸宅もこの界隈。そちらへと向かう道中にも、見逃せない同建築家作品が見られるので、寄り道数件を歩いた順に掲載します。

こちらは60 rue la Fontaine(フォンテーヌ通り60番地)、Hotel Mezzaraオテル・メッザラ。 1911年築。
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控えめながらもやはり同じ時代の香りたっぷり。
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半年足らず前にガウディを目一杯、駆け足ながらも堪能してきたばかりの我が目には、インパクトとしては欠けますが、入り口門というか柵のあしらいも彼らしいスタイル。
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サインはここは痛みなく残っています。
使われる石のみならず、こういう石造りの家って、風向き次第で傷み具合がまた異なるものなんですよ。
湿度が高いとすぐ黒くなってしまったりね。
もっとも、黒ずむのはカビの類によるとかで、増殖を防ぐ薬もあるらしいです。
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入り口扉(次)
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修理する職人さんが今もいるのがまた、フランスの良いところ。
ちなみにトゥールにはこういう専門家の学校があり、普段あまり見かけないけれど高技術の専門家が沢山います。お隣の県にもあって、そちらは石の専門家育成で、外から見えるアトリエを壁越しによく眺めては、皆熱心に取り組んでいるのになんだか妙に感激して、むやみに拍手を贈りたくなったものでした。
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窓の前も、ファサード中央は独特の、茹でたスパゲッティを散らしたような曲線スタイル。
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通風孔と言うのかしら、地下の明り取りなのかしら、侵入防止の柵も見落とせません。
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ギマール邸からメトロJasminジャスマン駅へ戻り、駅すぐ脇、東寄りへと伸びる石畳の小さな道、rue Ribera(リベラ通り)を突き当たりまで進んで左折してすぐ左手になります。
住所は 60 rue la Fontaine 75016 Paris(16区)

ここからすぐ目と鼻の先にあるのが、次回ご紹介する「Tremois トゥレモワ」。
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by mmetomato | 2010-04-03 20:02 | アールヌヴォー
パリのアール・ヌヴォー:その4


間があいてしまいましたが、前回のギマール邸、入り口から見上げた図。
バルセロナのガウディによるカサ・バトリョなどを引き合いに出せば、それはそれは控えめ。
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ギマールらしさは入り口に顕著に見られます。
いや、それほどには顕著でもないかな。 気配は確かに。
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いかんせんカメラが接写やズームができるようなものじゃないので、細部を端折らねばならないのが悔しいのですが、入り口扉(中央の主要扉の左にある小さな扉。使用人用の入り口じゃないかしら)に向かい合って左上には、大分痛んで読み取るのが楽でないながらも、知っている人には目に明らかな、ギマールの刻印が確かになされています。
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建物に向かい合って右側の小道寄りには、当時スタイルの表札も。
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果たして、122番地は当時のままなのか、後で刻まれたものなのかまでは存じません。
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扉は割とシンプルめ。
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とかくギマールに対して私が引き合いに出したがる、ヴィクトール・オルタ(先日書いたベルギーの同時代の建築家)同様に、恐らく調度品も手がけたのでしょう。
ドアノブにも注目。
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ギマール自身、1913年から1930年住んでいたんですって。

次回はAvenue de Mozartから少し外れたrue la Fontaineリュ・ラ・フォンテーヌ通りの邸宅をご紹介します。同じエクトール・ギマール作品ですよ。
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by mmetomato | 2010-03-23 18:14 | アールヌヴォー
パリのアール・ヌヴォー:その3


ドーフィヌ駅からメトロ2号線で2駅、エトワール駅にて6号線に乗り換え目指すは「ギマール邸:Hotel Guimard オテル・ギマール」。
またちょいとウンチクになりますが、仏語の「Hotel オテル」という単語には、日本語で言う「ホテル」だけでなく、いくつもの意味というか利用法があり、オテル・ギマールについては「邸宅」の意味になります。観光客などを泊めてくれる宿泊施設ではありません。
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上は、そのギマール邸がある通り「Avenue Mozart アヴニュ・モザール」、直訳するとモーツァルト大通り。
何故オーストリアの音楽家モーツァルトの名が用いられているのか、今ちょちょっと検索してみたのですが見当たらず。 そのうち何か見つけたら追記します。
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この並木道は、道沿いにパラパラと商店、カフェ、レストランが並ぶなかなか環境の良い通り。 地域の人が行き交い、アップで移せなかったけれど上、ブルーの上っ張りを羽織ったマダムはすぐ脇の美容室のお客さんで、ヘアカラーのメッシュ途中でアルミホイルを頭に貼り付けたまま一服しに外へ出て、立ち話中・・・ なんだか80年代辺りの日本のド田舎の道端風景の如し。

メトロJasminジャスマン駅までは、エトワール駅から6号線Nation行きで3駅目、Trocaderoトロカデロで9号線Pont de Sevresポン・ドゥ・セーヴル行きに乗り換え4駅目。乗り換えは分かりやすいのとほぼ同じ区内なので15~20分程でしょうか。
Avenue Mozartを5分足らず南下して行った122番地にあるのがギマール邸。 したの写真で真ん中に写っている街路樹のすぐ右に移っているのがその邸宅。 歴史的建造物として今、保護指定されています。
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住所:122 avenue Mozart 75016 Paris(16区)

この界隈、歩いて巡れる圏内に、ギマールによる建築物が複数あります。ざっと巡ってきたので、それらも今後紹介します。
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知らずに歩いていると必ずしも目に留まるとは限らないであろう外観。
でも、この景観でもアールヌヴォーの気配は感じるでしょ?
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悔しいことに逆行でして・・・ 何時頃だったかな、午後早めの時間。

細部は次回に。
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by mmetomato | 2010-03-09 04:49 | アールヌヴォー
パリのアール・ヌヴォー:その2


昨日のエクトール・ギマールによるメトロPorte Dauphineポルト・ドーフィヌ駅の続きです。
同駅は、同駅とNationナシオン駅とを結ぶメトロ2号線西の終点駅。 ちなみに2号線のここから2駅先はCharles De Gaulle-Etoileシャルル・ドゥ・ゴール・エトワール駅でArc de Triompheアルク・ドゥ・トゥリオンフ(凱旋門)の足元かつシャンゼリゼ通りの先端。
エトワール駅とナシオン駅を結ぶラインは2本あり、2号線はセーヌ右岸(パリ北半分)をカバーし、もう一本の6号線はセーヌ左岸(パリ南半分)をカバーしています。
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上のポルト・ドーフィヌ駅は、昨日書いた通りいくつか異なるデザインの既存メトロ駅の中でも大分見栄え良く、細部を観察するにもピッタリなので、パリでアールヌヴォー作品巡りをするなら、市の端っこだけれど足を伸ばす価値あり。

パリ・ドーフィヌ大学キャンパスがあるので、パリ郊外と市内を結ぶ電車RER(エール・ウ・エール)C線も通り、その駅界隈がまた、大きなアヴェニューが複数行き交うパリの西の入り口そしてパリ16区という大分お金持ちめな地区ということもあり、RERや国鉄SNCF駅周辺は胡散臭い雰囲気が多い街の中心と違って、なかなか優雅な雰囲気なんですよ。 殊にお天気が良いとね。

さて、そのメトロ駅のファサード、とは呼べないのかしら、入り口の屋根というのかしら。
細部をちょちょっとご紹介。
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全体のデザインもしかりですが、文字もアールヌヴォースタイルのフォントでデザイン性高いでしょう?
METROPOLITAINメトロポリタンの文字の右端には、写真では読み取れないかもしれませんが、ちゃんとGuimardの署名入り。
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1800年代末築のお屋敷が立ち並ぶこの界隈、街の中心より遥かに大きく立派な建築で溢れているので、建築好きなら散策して飽き足らないことでしょう。
ちなみに我が新居は(市内どの区かまでは知らせませんよ!)、建築家の署名も年代刻印も見当たらないけれど、電気契約のために電気公団EDFに電話した際、通知した住所とその住所に含まれる多数のアパルトマンの中でどっちの建物かを特定すべく話していた中で、同社にて登録されていたそうで1878年築と知りました。
木造建築に比べて長生きする石造りの家。パリは地震も殆どないので(場所によってはメトロが通る度に振動を感じるところもありますけど)、その辺りの年代築の家で溢れています。
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上、メトロを利用すべく階段を降りようとすると出くわす景観。
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やや色あせたオレンジには、いかにもアールヌヴォーらしいあしらい。
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絵画が有名だけれど、お家の壁画も多数手がけている、同じ時代のアーティスト、ハンガリー出身のAlfons Muchaアルフォンス・ミュシャ(ブリュッセルの高級め住宅街にいくつか大きな壁画が見られます)を連想させません?
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外側は、全体に落ち着く類似したトーン。
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ランプもレトロな感じでしょ。

イギリスなどもそうですが、ほんの1世紀ちょっととはいえ、古くに作られたもの、例えば「ガス灯」などを、電気の時代に適合させてもきちんと以前の姿を残したまま今も利用していることがとても多いのが、ヨーロッパが世界中の観光客を惹きつける大きな要素の一つなのではないかと思います。

国境を越えて違った文化に触れる楽しみに加えて、日本と同じ先進国でありながら、タイムスリップしたような感覚を味わえるんですもの。

オマケにもう1枚、
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こちらは同Porte Dauphineポルト・ドーフィヌ駅3つの出口に挟まれたAvenue Fochアヴニュー・フォッシュ。
ちょっと前に読んだ本によると確か、「パリで一番幅広い通り」なんです。 横幅何メータだったかな、去年の手帳にメモしてあった筈なのだけれど今手元にないので、いずれ確認します。

向こうに見えるのは、旧名エトワール広場Place de l'Etoile、現Place Charles De Gaulleシャルル・ドゥ・ゴール広場の凱旋門(Arc de Triompheアルク・ドゥ・トゥリオンフ)。
暇さえあれば十分歩ける距離です。徒歩20分位かな。人によるのと日本の人って往々にして歩くの遅いので、フランス人的リズムなら20分ほど、日本人の女の子リズムだと30分かも。
もっとも、ここで言う「フランス人リズム」は、「オフィスへと朝急ぐフランス人」が念頭なので、ちんたらちんたらシャンゼリゼをお散歩するようなスピードとは異なります。
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by mmetomato | 2010-03-08 01:10 | アールヌヴォー
パリも徐々に春らしく


三寒四温、春到来! と、太陽に誘われ「ブローニュの森でも散策に」と外へ飛び出したのだけれど、家を出る直前に友人から電話を受け急遽予定変更。
メトロの駅へと方向転換して出くわした春の風景。
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友人が午後半ば位に合流するというので、お天気が良くなったら巡りに出かけようと思っていた、アールヌヴォー時代の建築家、エクトール・ギマールHector Guimardの作品見物に予定変更。
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太陽に誘われふらっと出かけたパリの端、メトロ駅Porte Dauphine ポルト・ドーフィヌは、日中割と出入り口がひっそりとしていてカメラを向けるのにピッタリなんです。
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モンマルトルのアベッスAbbesses駅にも同じのがありますが、Porte Dauphineは緑に囲まれ遠景を写すのに調度良く、より明るくて、前々からカメラに収めに行こうと思いつつもなかなか実現しなくて。
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アールヌヴォーというと、万人受けするすべらかなものから奇怪なものまで様々だけれど、ギマールによるメトロの出入り口は、パリ人にも外国人観光客にも根強い人気。

ちょびっとウンチクを添えますと、まずHector Guimard エクトール・ギマールはフランス、リヨンLyon生まれの建築家。
1867年3月10日生まれ(1942年没)。
Hector Guimardはヘクトア・グイマルドじゃありません。仏語ではHは発音しない決まり。Guiはギと読み、例外は多々あれど一応ベースとしては最後に来る子音は発音しない決まり。

建築について専門的に学校へ通って学んだわけじゃないけれど、アートの一環ととらえて私には大好きなジャンルのひとつでして、殊にアールヌヴォー時代(19世紀末から20世紀初頭のほんの半世紀足らずにヨーロッパを中心にワッと流行ったスタイル)の作品は、若かりし頃、ほぼそれだけを目的にあちこち旅して歩いたものです。
一般的にもこの建築家は「フランスのアールヌヴォーを代表する主たる人物(の一人)」と言われるのに加え、ベルギーの同じ時代を代表する建築家Victor Horta ヴィクトール・オルタに比較して、私にとっては、各々各国を代表する同時代の主要人物、かつ類似点も顕著。

ちなみにアールヌヴォーを短い旅行で目一杯鑑賞するなら、私のお勧め地は断然ブリュッセル!
パリより小さな都市なのでトラムウェイ、バス、ちょっとしかない地下鉄を駆使して町中短時間で巡れるし、街が小さいのに今も素人目にも明らかなアールヌヴォースタイルがそれはそれは沢山、街に凝縮された如く残っているから。
ブリュッセル中を巡り歩けば、その時代に発展したラテン系の国の柔らかいラインのアールヌヴォーとゲルマン系の国の直線を多用したアールヌヴォー、十把ひとからげにされるアールヌヴォーにも様々なスタイルがあるもので、その両方を1つの街で堪能できる「美味しい街」なんです。

勿論、フランス、ベルギー、オランダ、ルクセンブルグ、オーストリア、スペイン、ドイツと主要国全部巡れるなら、2ヶ月くらいかけてしらみつぶしに巡るのが一番だけど。
バルセロナのガウディ作品も、町中走り回って堪能するなら1週間は欲しいところ。
でも、絵画と違って建築は基本的に国外に持ち出せないので(部分的には外国でのエキスポジションなどに持ち出されたりレプリカが展示されたりしますけど)、好きなら断然旅行する価値アリですよ。

さて、ギマールのメトロ駅に話を戻しますと、上のPorte Dauphine ポルト・ドーフィヌ出入り口のひとつ(出入り口2つ、出口1つある)はギマール作メトロ駅出入り口デザインの中の1スタイルでしかありません。
類似したものには、かつてのHotel de Ville オテル・ドゥ・ヴィルからお引越しして設置されたという同じ路線(メトロ2号線)はモンマルトルのAbbesses アベッス駅、そしてChatelet シャトレ駅とあります。

その他、より多く見かけるのが次のスタイル。
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パリに観光に来る人の、恐らくほぼ全ての人が一度は通るであろうルーヴル美術館(le Musee du Louvre)とパレ・ロワイヤル(le Palais Royal)の間にあるLouvre-Rivoli駅の出入り口もこのスタイルです。
上の写真は、太陽が隠れてしまっていきなり寒くなった同じ日の午後半ば、友人と合流すべくありがちに待ち合わせ場所に指定した、カルティエ・ラタンQuartier Latinはサン・ミシェル St Michelのメトロの出口のひとつです。
この日の私は「ギマール尽くし!」と決めこんでいたので、待っている間もメトロの入り口にせっせとカメラを向けていましてね。
相変わらずデジタルカメラを買っていないので、携帯電話のカメラ、電話としてはろくでもないSony Ericssonですが、電話に付属のデジカメ機能はそんなに悪くないでしょ。

パリのメトロについては、それだけをテーマにみっちり365日ブログの記事を書けそうなくらい話尽きないのですが、またいろんな方向へ話が飛んで収集がつかなくなるのが明らか。

ある程度まとまったら、「TOMATO流かなり偏ったパリガイド」としてブログからグルメ・ガーデンサブサイトにでも記事転居させようかと思いつつ、今しばらくは「パリのアールヌヴォー」・・・というのもまた幅が広すぎるテーマかな。
むしろ、この日巡ってきたギマール作品紹介に徹しようかと思います。
(写真整理する時間もあまりなくて、去年のバルセロナ写真も予告しておきながらまだ掘り起こせていないので、きっとまたすぐどこかへ話が飛んでしまう可能性大ですが、一応ギマールに関しては手元にある写真全部載せる! と意気込んでいます)
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by mmetomato | 2010-03-07 20:37 | アールヌヴォー