ポレンタ:Polenta



カリブ海、インド洋の島々を巡り、西アフリカに片足踏み入れ、中東と北アフリカでコーヒーにお茶を傾けること数週間、やっとヨーロッパに戻って来ました。

「我が家の食卓が」ね。

やっと単純にヨーロッパ料理に戻ったのはポレンタ。
先日、ゲストブックに質問を頂いて、家ではしょっちゅう作っていながら、レシピページを作っていなかったことに気付いてのことです。
キッチン&食卓でのアフリカ&南の島々巡りは、まだ続いています。 次回からはまた、その他の事も交えつつまたそちらに戻ることになろうかと思います。

過去の雑記に書いたことがあったのですが、もう大分前になるのでもう一度。
ポレンタ Polenta というのは、トウモロコシの粉。
粉と言っても、小麦粉のように粒子の細かい粉末ではなくて、コーングリッツのように粒が見える粒子の粗いものです。
南フランス含む南ヨーロッパで割とよく使われる食材で、お芋やお米、パン(ただしパンは何にでも添えるのでちょっと扱いが違う場合が多いものの)に代わるものとして、付け合わせにしたりメインプレートにしたり、デザートに使う場合もあります。

素材名がポレンタ、そしてこれを使ったお料理も、単純にポレンタと呼びます。
要は、生でも煮てもポレンタはポレンタ、ということなので、「〜のポレンタ添え」だったり、「ポレンタの〜ソースがけ」云々、何かしら添えて料理名を作ることになります。
また、練り物のようにして仕上げる料理名のポレンタが知られていることから、コルシカ島辺りで作られる栗の粉を似たような調理法で練り合わせたものは(恐らくコルシカ語の呼び名もあろうかと思いますが)「栗粉のポレンタ」などと呼ぶくらいです。

というわけで、写真はお料理の方のポレンタ。 グラタン皿に固めたところに、お野菜或いはお野菜とお肉の煮込みをかけてオーブンで焼いて。
我が家でポレンタと言えば、もっぱらこの使い道です。



食材としてのポレンタは、加熱にちょっと時間を要します。
一旦火を通して加熱調理時間を短縮できるインスタントと、コーンを砕いただけのものとあり、後者は、物によっては30〜40分煮るべし、というものもあるらしいです。
ベーシックな調理法は、箱入りなり袋入りなり買えば必ずパッケージに書いてありますので、それぞれの商品に適した加熱時間をある程度守って、あとは味見してテクスチャーや塩味、その他加える素材(バターやオリーヴ油、その他風味付けのハーブ等)の量を調整します。
メーカーによっては、詳細なレシピをパッケージに記載していることもあります。 Barillaのパスタのパッケージのように。

フランスの食品メーカーTipiakからインスタントが出ている(近頃、小さなお店から姿を決して、大型スーパーマーケットでしか見かけなくなりましたが)他は、この辺りではイタリアからの直輸入品が安く売られているので、郊外のショッピングセンターまで買いに行く機会がないと、私はイタリア産のインスタントでないものを使っています。
パッケージはイタリア語ですが、仏語とラテン語(ラテン語に関しては私の知識など乏しいものだけれど)感覚で全く問題なく分かるレベル・・・ だと思うのだけれど、つい最近、家から一番近いスーパーマーケットのレジのマドモアゼルに「使い方教えて! 入荷したのを見て使ってみたかったけれど、読めないから諦めてたの!」と言われてびっくり。
仏語が分かれば、イタリア語なんて特に話題のジャンルが分かっていれば40%位読めてもよかろうかと思うのだけど。 先入観の問題かしら(彼女は多分、外国語だから分からないと思っていて、私は、しょせん語源が一緒なんだからだいたいのところは掴めるでしょう、とたかをくくっているところアリ)。

ともかく、パッケージが読めなくても、おおよそのところ、生ならポレンタのおよそ4倍の重量のお湯を湧かし、塩を加えて、小雨のようにパラパラと少しずつポレンタを振り入れます。
この「小雨のようにパラパラ」を侮ると、お湯の中に固いお団子が出来て、後で閉口させられるので要注意。
あとはそのまま、シリコンべら(ゴムべらよりも加熱に強いので)か木べらで絶えずかきませながら、15分程煮ます。
最初は、分量が分量なので「殆どお湯じゃないですか!」と口を尖らせたくなるかもしれませんが、すぐにコーンの小さなかけらそれぞれがお湯を吸って膨らみ、もったり重たいピュレ状になります。
パッケージによっては30分も煮ろ、などと書いてあるらしいですが(知人曰く)、そこまで時間をかけずともちゃんと煮えます。 少なくとも私の経験上は。

お湯の量と煮詰め具合は、用途によって多少前後するかと思います。
お塩も、量は用途によりけり。 湯切りするわけでないので、パスタを茹でるように入れ過ぎないよう気をつけて。
濃厚に煮詰めた熱々をクネル型(舟形というか、船底2つを貼り合わせたような形)に形成して、お肉の付け合わせにしても良いですが、私は殆どいつも、グラタン皿に敷き詰めて、そのまま冷やし固めます。

濃いお粥状に煮えたポレンタは、熱いうちはドロッとしていても、冷えるとブリンッとした羊羹のような塊になります。
こうして冷やし固めたものに、真夏で新鮮なお野菜の味が良い時期ならラタトゥイユのようなお野菜煮をかけて、或いは、家で一番多いのは、太めのソーセージ(Saucisse de Toulouse)か、ソーセージに詰める前の粗挽き豚肉(Chair à saucisse)の肉団子とお野菜をトマトで煮込んだものをかけて、好みでチーズを散らして、オーブンで暖めると共にチーズを香ばしく焼き上げてサーヴします。

ソースをかけてグラティネする場合は、半日〜1日前にポレンタを用意しておきます。
出来立て熱々のポレンタにソースをかけてすぐにオーブンに入れていけないことは無いけれど、一旦冷まして固めていないポレンタは、ムチッと固まらないので、ミルクで伸ばしすぎたポテトピュレのように、盛りつけた時はちゃんと二層に別れていても、サーヴする時にソースと殆ど混じってしまうから。
それはそれで食べられるけれど、上のソース部分とポレンタの2層の違ったテクスチャーを楽しむなら、固めた方が私は好みなので。

作り置きできるし、食べる当日にはアントレとサラダだけ用意すれば良いのでかなり楽できるため、忙しい週を迎える前の週末によく仕込んで、冷蔵庫で寝かせています。
フランスの家庭料理の定番の一つ、「アシ・パルモンティエ」もしかりで、グラタンの類って案外便利。
この2つのそれぞれを多めに作っておけば、それぞれの残りを2つの小さめのグラタン皿にあけて、更にもう1日分楽できる・・・ と、我が家の「手抜き」は大抵こんな調子。

やたらに「手抜き」を意識して本当に手を抜くのが大嫌いなので、それぞれのお料理はきちんと作っておいて、あとは「残りものやりくり」を楽しむのが私流です。 こだわりでゴザイ! と言う程のことではないけれど、いや、少なからずこだわってはいるかな、「手抜き」という語を嫌うがために。
むしろ、大したことない手間を省いたとしても、味に影響が出るなら時間を犠牲にした方がマシ、という根っからのグルメというか食いしん坊というか・・・

長くなりますが話ついでに、ポレンタのデザート。
フランスの家庭のおやつに「ミアス」というものがあります。 あまりに家庭的であるがために、方言によって発音や綴りに違いがあり、「ミアッス/ミアスゥ」etc. オフィシャルな名が果たして1つだけなのかすら分かりませんが、トウモロコシの「粉」を煮て、上記ポレンタのように冷やし固めて、バターを敷いたフライパンでお砂糖を振ってソテーしたものを示します。
トウモロコシ粉だけでなくつなぎに少し小麦粉も加え、水よりもむしろミルクを使うことが多いようですが、感覚的にはポレンタと大差ありません。
バターで溶けたお砂糖が焦げて、バターとカラメル風味をモチモチしたトウモロコシ生地と味わう、日本の感覚なら「きな粉餅」といったところかしら。 とことん家庭的なもの。

少し素材が違うのであくまでも紛い物でしかないけれど、冷やし固めたポレンタも、スライスしてフライパンで同様にソテーすれば、似たような感覚のデザートにできなくもありません。
ただ、繋ぎに小麦粉を入れないと、ポレンタ粒がフライパンに多かれ少なかれ(固さ次第)逃げるので、扱いは少々手間取るかもしれませんが。

トウモロコシが原料のポレンタ、調理したものには、ちゃんとトウモロコシ風味はあるものの、不思議とフローラルな風味が加わります。
シリアル類に通じる独特な風味もあれど、何、と具体的にどうしても見つけ出せずにいるのですが、「フローラル」。
初めて食べた時は、それが鼻に付いて、トウモロコシが原料というところから待っていた味と全く違って、「ふむ。さして美味しくもないものだわ」と思っていたのに。
いつの間に慣れたのやら、いつしか我が家の常備食材の一つに加わっていました。

レシピ(1例)は、既にサイトに追加してあります。 「欧米料理:肉」&「欧米料理:その他」の2カテゴリに。


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by mmetomato | 2007-09-25 22:22 | 料理


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