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発泡赤葡萄酒



全て漢字にしてみると、なんだか中国紹興酒と大差無い大衆的なお酒みたい・・・?
言い換えれば、スパークリング・レッド・ワイン。 カタカナ使い放題の現在だと、こちらの方がしっくり来るかしら。



先日、近郊の一夫妻、遠方から休暇で遊びに来た一夫妻に私達(相棒と私)と、ネットを介して知り合ったブログ仲間(les blogopotes)で集った夕べのアペリティフがこちら、スパークリングの赤ワインです。




発泡ワインといえば、何を差し置いても恐らくシャンパーニュが世界で最も知られていることと思います。
しかし、よく聞くのが「発泡ワイン」=「シャンパーニュ(シャンパン/シャンペン)」という勘違い。
ツウに言わせれば、そんな考えはケシカラン! といきり立つかもしれないけれど、分からなくもない話。
しかし、世界のどこで作られようが全ての発泡ワインがシャンパーニュ、というわけではありません。

ウンチクに走るつもりはありませんが、ベーシックな知識として記しておくと、シャンパーニュと呼べるのはフランスのシャンパーニュ地方で伝統に則った製法で作られたものだけ。
その辺の「アペラスィオン appellation(呼称)」についてフランスはとにかくやかましくて、15年程前かな、イヴ・サンローランが「シャンパーニュ」という名の香水を発売しようとしたところ、同じ理由から国内ではこの名が使えず、仏国外でだけシャンパーニュという名の香水が出回ったこともあったくらいです。
国内では何て名だったか、確か今も存在する香水だと思いますが未確認。 苦手な香りなので。 Yvresse:イヴレッスだったかな?

また、フランス中どこでもシャンパーニュは知られていても、そればかりが国産発泡ワインの全てではありません。
全て網羅しているわけではないのでこの近郊に限って挙げると、知られているのはトゥールからやや東寄りのロワール川沿いの町ヴーヴレVouvrayの「ヴーヴレ・ムスー(白)」、同西寄りの隣県、やはりロワール川沿いの町ソミュールSaumurの「Saumur Brut(白&ロゼ)」、そして知名度はもっと低い「Rouge pétillant(赤)」、いずれもスパークリングです。

ヴーヴレについてはちょっと変わっていて、1つの作り手でも畑の位置によってブドウの出来が異なるのはさておいたとしても、同じ畑でもその年の天候によってブドウの出来が違うため、全く同じ畑の同じ木のブドウを用いながら、その年によって半辛口・辛口発泡ワインを作ったり甘口ワイン(Vouvray moelleux)と作り分けられています。

今回の赤は、この辺りでは恐らく唯一の赤のスパークリング。 銘柄はソミュールのBouvet - Ladubay ブゥヴェ・ラデュベ(ソミュール界隈には、他にも赤の作り手は居ます)。



あまり天候の良く無い寒〜い夕方、お庭のパラソルの緑とトレイに並ぶ水用グラスの青まで写りこんでしまっていますが、一応ちゃんとワインレッド、そして上の方にしか見えないけれど泡もアリ、というのは分かることと思います。

お味のほうは・・・
赤特有の、でも極々軽めのタンニンでございとまでは行かないほのかな渋み、とりわけフルーティーな方でもないけれど黒ブドウ風味があって、だけれどさほどの奥行きはなし。
そこに白ワインのようなドライ感(辛口の感覚)がさっと混じって、典型的シャンパーニュに比べると泡の刺激はもっと弱い微炭酸。

知らない人にとっては話の種としては面白い、また、一度味見してみるのも良いでしょう、とは思うけれど、実はそんなに美味しいものでもありません。

これが白やロゼなら、多少余計に冷やして真夏の太陽の下でスッキリと、といった味わい方もできるのだけれど、ベースが赤、しかも半甘口ちょっと甘口寄りというのが多いので、なんとも微妙というか中途半端な風味。
赤でもこのスパークリングは、程々冷やして味わうものとはされているんですけどね。



上は、別な機会に招かれたお宅で写したもので、同じくソミュールのロゼ。
折しもかなり気温が上がった真夏日の午後、あまりの陽射しの強さに、バーベキューを終えてデザートは屋内に避難して、お届けしたカフェ&ショコラのチーズタルト(サイトにレシピあり)と共に開けた一本です。
キリッと冷やした半辛口で、天候の助けが加わってというのを考慮しても、赤に比べてこちらの方が一般的に飲み易い筈。

マニアックにあれこれ追求するようなマニアじゃないので、ワインについてあれこれ語れやしませんが、ロゼ、そして赤のスパークリングは特に、知らない人も多いのではないかと、ちょっと触れてみた次第。

地元だからとこだわるわけではありませんが、私のお勧めはソミュールよりもヴーヴレです。 スパークリングならね。
ヴーヴレの甘口も、デザートワインとして、或いはフルム・ダンベールのような脂質をストレートに感じる青カビチーズのお供にデザート前のチーズプレートと共になど、この辺の甘口の中ではなかなか美味しいので、機会があったらお試しあれ。
良い年の甘口は、何十年もの保存にも耐える出来になり得るワインで、作り手のカーヴ(貯蔵庫)には、19世紀のワインまで寝かせてあったりするくらいですから(飲めるのやら、開けてみないと分からないでしょうけれど)。

ちなみに、赤のスパークリングを開けた&空けた晩、当初予定されていたアペリティフは、近郊に住むご夫妻の奥さんの家系がワインの作り手で、69年の白。
年数を聞いて一同セルジュ・ゲンズブール Serge Gainsbourgの歌(69, année érotique...)を口ずさみながらニマニマする中栓を抜いたところ、残念ながら貯蔵に耐えなかったらしくて、味見した末「これは駄目だ」とよけてしまいました。


by mmetomato | 2007-08-15 01:26 | 食材


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