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「ブサイク」なトマト



いえ、ワタシのことじゃありません。 私のモデスティ(謙遜)もそこまでは行きません。
「不細工なトマト」とは、数年前にサイトのゲストブックに頂いたメッセージ、マルシェで売っているお野菜のトマトの1品種に関する話題に出て来た表現で、その時に「あ〜、耳が痛い」などと我が身を茶化したものでして・・・
以後、このトマトを見る度にその表現を思い出すんです。




こちらが、その時話題になった「クール・ドゥ・ブッフ:Coeur de boeuf」、訳して「牛の心臓」。
4〜5年ほど前からマルシェで居場所を獲得し始め、ここ2〜3年程で全国的に知名度が高まった、大粒でジューシーなトマトの1品種です。

見慣れればさしてグロテスクなわけでもないけれど、ツルンとしたスベスベ肌のピチピチトマトしか知らないと、束ねたカーテンのごときギャザーが寄ったこの外観に眉をしかめたり吹き出したり。
上の写真の粒はどれもまんべんなくシワが寄っているので、これはこれでそれなりのスタイルと言いましょうか、「そういうものなのだ」と察せられることと思います。
でも、発育状況によっては、皺が大小滅茶苦茶に寄っていて、かな〜り見た目が悪いものもあります。

私の行着けのマルシェでは、毎年色々違った品種を植えては楽しんでいる農家からの直売店があって(家族ぐるみで農業に取り組み、若い娘さんがチャレンジ精神旺盛で毎年色々取り寄せて植えるのだそう)、普段から奇妙なトマトが並んでいるので、馴染みのお客さん達は「今更もう」とばかりに驚くことなく大小カラフルな(赤、黄、オレンジ、白、黒etc.)トマトを選んでいますが、時々やって来る新参者の色々な反応を眺めるのも、お馴染み客の楽しみ。
今年はさほど極端に見栄えの悪い粒は見つけていませんが、そのうち近所のマルシェで買って来た粒も掲載します。

バゲット(日本で言う「フランスパン」)に流行があるように、お野菜にも2〜3年サイクルで入れ替わる流行がありまして、去年辺りまでの数年間は「ミニチュア野菜 légumes mignatures」や「昔野菜 légumes anciens」などが流行ったものでした。
苺やトマトも勿論例外ではなくて、流行のピークは越したらしきものの、今しばらくはトマトの定番品種として人気を集める「牛の心臓」。






横にナイフを入れるとこんな風。
ハウス栽培で最もポピュラーな丸いトマトに比べると、複雑というかグチャグチャというか・・・
いくつかのセルに分かれて種を抱くというトマトの法則は当然守られていて、そのセルの分裂がギャザーの数だけあるので、横に輪切りにしたゴージャスなお花のような切り口を生かして使うと良いです。

ただね、人気が出てそこら中で作られるようになる=そこら中で買えるようになる、というのは嬉しい反面、品質に疑わしいものが増えてくるのも定めなのやら。
よっぽどお天気に恵まれた土地で作られたものを選ばないと、汁気ばかりで味の薄いものが増えているので要注意。
「ブサイク」でも、味は断然良い方が嬉しいですものね。

私はフルーティーさだけでなくトマト独特の風味強いものも欲しいのですが、どうやら世間一般的に嫌われる傾向らしくて、年々「トマトらしい香りのトマト」が減っているのが寂しいところ。
このCoeur de boeufも、青臭いような昔ながらの「トマト臭(茎から匂うのと同じ青臭さ)」は皆無に等しく、良質のに当たればかなり甘味強めで、実野菜とはいえもはやお野菜というよりもフルーツのよう。
この品種に限らず、近年益々、よりフルーティーでジューシーなトマトの人気が高まっています。
もう、見栄えなんて二の次で。

毎年9月に、近郊のお城でトマト祭りが開催されます。
よっぽどのトマトマニアでない限りは、遠方からはるばる見に来るほどのこともないけれど、所有する品種600だったかな。 毎年そのうち300品種程を狭い畑(品種の数の割に、という意味よ)にビッシリと植えて、季節の終わりギリギリ1週末2日間、その畑にかこつけたお祭りを開催し、その2日間だけ、畑を一般公開しています。
追々そんなトマトも掲載します。


by mmetomato | 2007-07-25 00:51 | 食材


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