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現代のレジスタンス(時事フランス)



フランス大統領選については、先日の雑記に書きましたが、その後、フランス各地での「ミニ暴動」については、日本での方がよっぽど報道されているんじゃなかろうかと思います。

トゥールTours(フランス、Centre圏アンドル・エ・ロワールIndre-et-Loire県、ロワール川沿いで、トゥールーズToulouseじゃなくてよ)は、既に書いた通り、昔から社会党派で、6日の決選投票でも、市内の結果では、今回敗退した女性候補セゴレーヌ・ロワイヤルSégolène ROYALが勝利していたそうです。

敗退した社会党派の若者が目下あちこちの主要都市で起こしている暴動なり蛮行なりは、チラリホラリと周囲から聞こえて来る話によると、割と穏やかなトゥール市内でも「なんとなく程度」に起こっているそうです。
でも、暴動ではなく、細々と、非常識なのが火をつけるくらい。
勿論、それだっていけないことに変わりありませんが。




こちらは、市の中心地(旧市街)のレストラン街から細い脇道に逸れた、学生(仏人大学生)が集うアパートの一つの、焼け焦げた外装。
選挙結果が発表された晩から夜が明ける朝5時、アパートの足下に駐車してあった車が燃やされたらしいです。







実際に火のついた車は既に片付けられていたので、上は、その後ろに縦列駐車していて炎を浴びた小型車。
恐らく、「焦げただけだから大丈夫だろう」とそのまま残されたのでしょう。




縦列駐車した車の脇を、車一台がやっと通れるような小さな道なので、歩いていて見上げると、地階の窓はこんな状況で・・・

丁度、この建物の出入り口らしい大きな扉から出て来た学生風の子に尋ねたところ、
「眠っているところを叩き起こされて、全員パジャマのままそこの道の先に(とすぐ脇を示し)避難させられたの。外から見ると凄いことになってる風だけれど、地階の窓だけで、消防士がさっさと火を消してくれたから屋内は殆ど被害は無かったのよ」とのこと。

真っ黒に焦げているのは、両開きの雨戸です。
屋内に被害は無かったというものの、木製の雨戸はすっかり炭。





そしてこちらは、駅近くの街頭のキオスク(新聞&雑誌の売店)。
このお店は、確かもう1年以上閉店したままなのですが、表の広告管理は、広告配置会社というのかしら、別な組織が管理しているので、かなりこまめに定期的に雑誌の宣伝ポスターが張り替えられています。

こちらも燃やされていて、駅側はポスターを覆うガラスのウィンドウが粉々に砕けて地面に散らばったのを“掃除した跡”。
恐らく、近々大統領に就任する筈のサルコズィ、或いは敗退した社会党のロワイヤル、いずれかの写真を使った雑誌のポスターでもはめ込まれていたのでしょう。

今回の大統領選のために各々の政党が確保した事務所は、結果発表前から、既にガラスが割られていました。

「国と国民に対する裏切り行為を行わない限りはアンタッチャブル」であるフランス大統領。
7年+短縮した5年の2期、計12年間大統領を務めたシラク現大統領(任期残りあと1週間)は、特に2期目は、次第に声高に暴露される汚職問題逃れに「アンタッチャブル」の立場に逃げ込み、結局何ら大きな改革もせず落ちぶれ行く仏中産階級を遠くから眺めつつのんびり5年間のヴァカンスを過ごしたようなもの。
反して、このほど当選したやる気満々の若いサルコズィ氏は、独裁的だと危惧する声が高く、不安を掻き立てるのは分かるんですけどね。

極左に近い社会党派の知人からは、選挙の結果発表直後、「Résistance !:レジスタンス!」とのメッセージが携帯電話に届いたもので。
政治に関心が高いのは良いけれど、同じ仏国民が「デモクラシー」の名の下に選び出した結果について、こんな形で反抗するのはいかがなものかと・・・


<本日の仏単語>
・火事 incendie アンソンディ
・放火 incendie volontaire / criminelle アンソンディ・ヴォロンテール/クリミネル
・蛮行 vandalisme ヴォンダリズム(文明破壊)
・左派 gauche ゴーッシュ
・右派 droite ドゥロワットゥ


<本日のバックミュージック>

フランスのラップグループ
La Brigade:ラ・ブリガードのAlbums
Le Testament」より、“ Liberez” & “Qu'est-Ce Tu Veux!”
Un ésprit libre ne meurt jamais」より、“ Ghetto Soucis ” & “ Change ”

Ghetto Soucis ゲットー・スゥスィ →直訳:ゲットーは危惧する
 (韻を踏むセンス抜群!)
Change ションジュ →直訳:変える/代える
 (現状にピッタリ、寒気がする程お気に入り)
Liberez リベレ →直訳:解き放て
Qu'est-Ce Tu Veux! ケスクテュヴ →直訳:何を望むんだ!

いずれも、「シテ Cité(若い子風に言うなら逆さ言葉のテシ)」と呼ばれる、多かれ少なかれゲットー化した地区の『若者のココロ』に基づいているので、丁度、今の状況にピッタリではなかろうかと。

Youtube.com & Dailymotion.comで見つけたVIDEO(私のオススメ順):
・“Ghetto soucis”(sur dailymotion.com
・“Change”(sur dailymotion.comyouotube.com
・“Liberez”(sur dailymotion.comyouotube.com


by mmetomato | 2007-05-10 06:50 | 時事フランス


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